ランド・オブ・ザ・デッド

 終業後の疲れた体をゾンビのごとく引きずってレイトショーに行く。
 メモ程度に。
 ザック・スナイダー版「ドーン・オブ・ザ・デッド」を見て、何かが違う、何かが足りない、そう思ったあなた、回答はここにある。
 生者の時代の終りの物語のはじまり、はじまり。
 アーシアとレグイザモのゾンビ偏差値が異常に高い件について。アーシアは分かる、ダリオ・アルジェントの愛娘にして、3歳からロメロと交流があったという、いわばゾンビ・エリート*1。擦れた色気もすばらしい。
 意外や、レグイザモがロメロの世界観になじんでる。ヤンチャな暴れぶりです。
 ライリー(影がうすいよ)は、意外とゾンビものでは珍しい人物造形か。リーダーシップがありつつ、自己中心的でない。責任感がありつつ、街を捨ててカナダへ脱出しようとする。活動的でありつつも、ヒステリックにならずに淡々と行動する。変なキャラ。
 さすがロメロ、ゾンビ家元。ゾンビの佇まいにも、幽玄さすら感じさせます。侘び寂びの世界か。
 本当のクライマックスは、ホッパーのもとへ向かうレグイザモの背中だ。
 「志村後ろ、後ろー」率が以前にも増して高くないか。
 上部ハッチから乗り込め!
     ↓
 レコニング号のフロントを登ったり、滑り落ちたり
 の流れは、アーシアの反応も含めてドリフのコントか。
 ゾンビ側パートは、ギャグと感動が紙一重になった演出。ゾンビ版「奇跡の人」か。ビッグ・ダディ、おそろしい子。
 トム・サビーニの出演シーンは、こなれてない。スナイダー版の出演の方が印象的だった。
 ゾンビの速度は問題ではないのだ。オリジナル「ドーン〜」でもゾンビの速度は演出次第で融通無碍だし、オリジナルのこどもゾンビのすばやい動きは。
 「80年代に撮影はしたもののお蔵入りになっていたフィルムを引っ張り出してきた」感はいなめない。だが、それがいい。映画を見終わった幸福感を感じた。

*1:ペキンパーの「キラーエリート」の次ぐらいにイヤなエリート