読んだ本

ヤマシャクヤク

ヒャッハーッ、志村志保子の新刊だぜーッ(ボウガン片手に改造バイクで疾走しながら。髪型はモヒカンで)*1
志村志保子女の子の食卓 1」*2ISBN:4088566483。「食べ物」を主題にした10の短編と読切「バス停」が収録されてる。「泣き」でも「癒し」でもない、だが確実に胸の奥が熱くなるモノ語り。女の子の「業」や「決意」や「想い」を静かに、だけれどクッキリと描き出してる。以下、各編あらすじと感想文。
「スイミングクラブのアイスクリーム」
半年前にパパが再婚したばかりの郁は、新しくできた弟とスイミングに通っているが。郁の心情の描き方がとても良いです。
ライ麦100%のライ麦パン」
一人暮らし&バイトを始めた香織は、アパートのお隣さんがなぜか気になって。最終コマで、胸に熱いものがジワーっと広がってく感じ。
「ポケットの中のミントガム」
仕事先での再会以来、なっつこく通って来る小学校時代の同級生、和市にうんざり顔の美咲だが・・・。美咲の人物像が魅力的。
「運動会の五目いなり」
唐突に祖母の元を訪れた大学生の修は、五目いなりを作ってもらう。
「日曜日のお茶会マカロン
中学生の加代子は、クラスで浮いた存在の転入生ユリナとふとしたことから言葉を交わすが。
「御家族のもんじゃ焼き
美園は、家族みんなと夕食にもんじゃ焼きを食べる。ただこれだけの話で「家族の味」を、人と人との縁(enisi)を描き切ってる。
「絋也君の洗ったいちご」
中一デビュー*3した花菜芽は、お隣の紘也君に苺をおすそ分けに行く。主題の苺のイメージどおり瑞々しく、(性的な描写なんてないのに)エロチックなネーム。
ダンボールの中のあぶりめのは」
親の反対を押し切って上京した大学生の紫乃。仕送りはゼロ、目標も持てないまま続ける大学とバイトに疲れ気味だが。
「お土産のディジョンマスタード
小学生の三奈はフランス留学から帰国した詩子さんに、お土産のマスタードを貰う。『りぼん』を愛読するような男性読者には*4衝撃的な切り口の話かも。
「えっちゃんのママのバジリコ・スパ」
OLの景は、思い出深い人物「えっちゃんのママ」と再会する。最終コマの暗転でしばし呆然、その後、誰もが辞書に手を伸ばすはず。
「バス停」
綾乃は、お姉ちゃんの彼氏の宮森君と山に遊びに行くが。
なんかもう全体としては、オレの目頭をこんなに熱くしてどうするつもりだ、という仕上がりの一冊です。

*1:台詞としてはこの後「『クッキー』掲載分の切り抜きを、まだ持ってやがるぜ。単行本がでた今となっちゃあ、何の役にもたちゃしねえってのによ(略奪しながら)」とか続く。

*2:志村志保子女の子の食卓 1」集英社,2005年

*3:死語か?

*4:自分のことだ・・・。